Cat5e/Cat6ケーブル配線工事の注意点
1.ケーブルを強く引っ張らないでください
UTPケーブルの最大引っ張り力は9.3Kg(110N)と規定されています。
規定以上の強い力で引っ張ると、「心線の導体が延びて細くなってしまう」「心線の絶縁体が変形して導体の間隔が狭まってしまう」等により、ケーブルの一部だけがインピーダンス変化を起こし、リータンロスを増大させてしまいます。
2.ツイストペアの撚り戻しは最小にしてください
ツイストペアの撚り戻しは「Cat5Eでは12.7mm(1/2インチ)」「Cat6では6.4mm(1/4インチ)」までと規定されています。
撚り戻しが長過ぎると「NEXT(近端漏話減衰量)」「PSNEXT(電力和近端漏話減衰量)」「ELFEXT(等レベル遠端漏話減衰量)」「PSELFEXT(電力和等レベル遠端漏話減衰量)」を増大させてしまいます。
また、撚り戻したペア線の間隔が開いてしまうとリターンロスを増大させてしまいます。
3.ケーブルはゆるやかに曲げてください
ケーブルの曲げ半径は 約25mmを最低とし、コンジットの直角中継などは1ライン中2ヶ所以内と規定されています。
ケーブルを曲げ過ぎた場所では、内部のツイストペアの撚りが崩れてしまいリターンロスを増大させてしまいます。
4.ケーブルの結束はキツクしないでください
マジックテープバンドなどで緩く束ねてください。
インシュロック等でケーブルをキツク縛るとケーブル内部のツイストペア線が潰れてしまうことにより、ケーブルの一部だけがインピーダンス変化を起こし、リータンロスを増大させてしまいます。
5.ケーブル同士を長距離並行して敷設しないでください
ケーブル同士が完全に並行しないよう少しでもバラバラに敷設してください。
複数のUTPケーブルを長い距離並行して敷設した場合、長く並行した他のケーブルからのエイリアンクロストークにより通信データがエラーを起こしてしまいます。
LANテスタでは1ライン毎にしか検査が出来ないため確認が出来ず、システムの稼動後に問題が見つかることになります。これを防ぐための目安としては LANテスタのNEXTの最悪マージン値が3dB以上を目標に施工してください。
(エイリアンクロストーク:外部からケーブルの中に侵入するクロストーク)
6.最低リンク長は15m以上にしてください
プラグ/ジャックなどの接続ポイントが近接しているとNEXTの近接効果現象やリターンロスの繰り返しによる反射共振現象が起きてしまいます。
7.ノイズ源からはなるべく隔離してください
トランスや電源ケーブル等のノイズ源には近接させないでください。ノイズにより通信データがエラーを起こしてしまいます。
目安としては「モーターやトランスから120cm以上」「電源ケーブルから30cm以上」「蛍光灯から13cm以上」などです。
8.余長ケーブルを円状に巻いて処理しないでください
余長ケーブルを円状に巻いて処理する場合は円の直径を変化させ処理してください。
同一の直径で幾重にも巻いた場合は長距離の並行敷設と同様になり、通信データがエラーを起してしまいます。また、LAN機器の近くにて処理した場合には機器のノイズの影響を受けやすくなります。